「『保険はほとんど入らなくてよい』という話を聞くけど、本当に大丈夫?」
「『保険いる派・いらない派』で意見が真逆で、どっちが本当か分からない」
そういう方に、今回は比較的見直しがしやすい”医療保険”について、『保険いる派・いらない派』の主張を比較してみました。
その結果、医療保険に入ったほうがいい人、入らなくていい人が見えてきましたので、参考にしてただければと思います。
手術や入院にかかる費用はどれぐらい?
”医療保険”とは、公的な”健康保険”とは別に、民間の保険会社に保険料を支払って、手術や入院の費用の一部を補償してもらう保険のことです。
では、医療保険に入らずに手術や入院をしたら、どれぐらいの医療費がかかるのでしょうか。
これは『保険いる派・いらない派』ともに、
平均で20万円
脳梗塞など入院が長い病気で50万円
としています。
その他もろもろの費用を含めると、
50~100万円
が必要です。
これだけの費用ですむ理由としては、
①「健康保険」により医療費の自己負担割が低く抑えられている
年齢 | 医療費の自己負担割合 |
75歳以上 | 1割負担 |
70歳以上 | 2割負担 |
70歳未満 | 3割負担 |
高齢になると病気になりやすいですが、その分、自己負担割合も下がる仕組みになっています。
②高額療養費制度がある
①に加え、それでも月々の医療費が高額になる場合、一定額を超えた部分について自己負担がほぼなくなる、「高額療養費制度」があります。
年 収 | 上 限 額 |
約1160万円以上 | 252,600円 ※この金額を超える部分は、医療費の1%のみ負担。 |
約770万円〜約1160万円 | 167,400円 ※同上 |
約370万円〜約770万円 | 80,100円 ※同上 |
〜約370万円 | 57,600円 ※この金額を超える部分は、自己負担なし |
住民税非課税の方 | 35,400円 ※同上 |
保険料の元は取れない
自己負担割合が抑えられ、高額療養費制度を利用しても、手術や入院をすると50万〜100万円はかかります。
民間の医療保険の役割は、その費用の一部を補償することにあります。
しかし、ここで注意事項があります。
それは、
「支払う保険料 > 受け取れる保険料」
ということ。
意外かもしれませんが、保険いる派・いらない派ともに、
”保険料の元は取れない”
ことについては、意見が一致しています。
これは考えてみれば当然で、そうでないと保険会社は倒産してしまいます(笑)。
そうならないように保険が設計されている、当たり前ですね。
元が取れるケースもないことはないでしょうが、レアケースと捉えたほうがよいでしょう。
『保険いる派・いらない派』それぞれの主張
これまでみてきた以下の2点については、『保険いる派・いらない派』ともに、意見が一致しています。
①手術や入院で必要なお金は50〜100万円
②医療保険で元は取れない
両者が異なるのは、ココからです。
【保険いる派の主張】
- 「突然100万円もの出費があれば、たとえ蓄えがあったとしても家計へのダメージが大きい」
- 「そのせいで生活を見直す(旅行に行けなくなる)などの影響も」
- 「入院するだけで精神的なダメージが大きいのに、出費も重なると更にそれが大きくなる」
- 「医療保険は元は取れないが、”安心”を買うことができる」
【保険いらない派の主張】
- 「元がとれず、また手術・入院にかかる費用も巨額ではないので、自分で蓄えたほうが効率的」
- 「そもそも保険は、『起きる可能性は低いが、起きれば多額の損失がでること』に備えるものだが、医療保険はこれに当てはまらず、仕組みとして破綻している」
皆さんはどちらの主張により賛成できますでしょうか?
先進医療について
次に、先進医療について見ていきましょう。
医療保険には、先進医療の治療費を補償してくれる「先進医療特約」を付けることができます。これを目当てに、医療保険に加入している人もいるかもしれません。
ではそもそも、先進医療とはどのようなものなのでしょうか。
先進医療とは、健康保険の対象とするかどうか、審査中の治療法です。そのため、治療費は全額自己負担となります。
具体例で見てみましょう。
がん治療に使われる先進医療に、「粒子線治療」があります。
この「粒子線治療」は、今ある先進医療の中で王様ともいえる存在です。というもの、実施件数が多く、かつかかる治療費も約300万円と非常に高額です。(他の先進医療は、実施件数が非常に少ないか、治療費がさほど高くないものが多い)
ただし、この「粒子線治療」は、普通の放射線治療(公的保険が適用される)に比べ、特別な効果があるとは認められていません。
このように先進医療はそもそもその効果が不明です。
また先進医療のラインナップもその時々で変わるので、皆さんが病気になった時、適当な先進医療があるかどうかは分かりません。
結論
以上から、医療保険に入った方がいい人、入らなくていい人を考えてみました。
【入ったほうがいい方】
- 計画的な貯蓄ができない方(それなりに収入はあるのに、なぜかお金が貯まらない方)
- 保険に入っていないと、どうしても不安な方
- いざ病気になった時、効果はともかく先進医療なども一通り試してみないと、気がすまないだろう、と思う方
【入らなくていい方】
- 計画的に貯蓄できる方、節約したい方
- すでに十分蓄えがある方
- 若く独身の方
- 先進医療までは不要だと考える方
個人的な意見ですが、”医療保険”への加入は不要だと感じました。
というのも、”医療保険”は計画的に貯蓄ができない人向けの、対処療法的な安心剤にすぎません。
かりそめの安心よりも、しっかりとマネーリテラシーを上げ、計画的に資産形成をすることができれば、より大きな安心を得られると思います。
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